開業届の基礎知識
【初めての開業】いつ、誰が、どこに出す?開業届の基礎知識
個人事業主やフリーランスとして事業を始めるときには、開業届の提出が必要です(所得税法第229条)。しかし、開業届を出すタイミングや、どこに提出すべきなのかがわからず、手続きに戸惑う方もいらっしゃるでしょう。今回は、開業届を「いつ、誰が、どこに」出すのかを解説します。
1.開業届とは?
まずは、開業届の概要を確認してみましょう。
◎手続名(国税庁HP)
個人事業の開業届出・廃業届出等手続
◎概要(国税庁HP)
新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止したとき又は事業を廃止したときの手続です。
開業届は「所得税法第229条」に基づく「事業を始めましたよ」と税務署に伝えるための書類です。
開業届は、国税庁のホームページからダウンロードするか、税務署の窓口でもらえます。また、開業届の手続きに、手数料はかかりません。開業当初は何かとお金がかかりますが、この点についてはご安心ください。
2.開業届はいつ出すもの?
開業届は、事業を始めるにあたって、どのタイミングで提出すればよいのでしょうか。国税庁のホームページには、以下のように書かれています。
◎提出時期(国税庁HP)
事業の開始等の事実があった日から1月以内に提出してください。なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。
実は、「事業の開始等の事実」には明確な基準が設けられていません。そのため、開業日をいつにするかは、開業届を出す本人が「開業した」と決めた日でよいのです。
たとえば、Aさんが個人事業主として小売店を開くとしましょう。その場合、開業日は「店舗用に場所を借りた日」または「お店をオープンした日」など、Aさんが好きなタイミングで決められるということです。
また、開業届の提出義務に罰則規定はありませんから、開業から1ヵ月以上経ってから開業届を提出することは可能です。
3.開業届は誰が出すもの?
開業届の提出は、どのような方が対象になるのでしょうか?
◎手続対象者(国税庁HP)
新たに事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき事業の開始等をした方
個人事業主やフリーランスとして「事業所得を得る人=何らかの商売で稼いでいる人」であれば、開業届を出すことができます。ただし、その商売が「事業」として認められるかどうか、そこには明確な基準はありません。
「事業」として認められない場合には、確定申告の際に「雑所得」として申告することになるため、注意が必要です。明確な基準がないからこそ、自分の商売が事業といえるのか、税理士事務所などに相談してみるとよいでしょう。
4.開業届はどこに出すもの?
開業届は、どこに提出すればよいのでしょうか?
◎提出先(国税庁HP)
納税地を所轄する税務署長に提出してください。
「納税地」とは、「住所地」「居所地」又は「事業所等」のことをいいます。一般的には、開業届の提出先は「住所地(=開業した本人の自宅住所)」を所轄する税務署となります。しかし、先ほどの小売店の例でいうと「事業所等(=店舗など事業を行う場所の所在地)」を所轄する税務署とすることもできます。
納税地を所轄する税務署については、下記の国税庁のホームページでお調べください。
※税務署の所在地などを知りたい方
https://www.nta.go.jp/about/organization/access/map.htm
おわりに
今回は、開業届とは何かという基本的なことから、開業届を「いつ、誰が、どこに」出すのかを解説しました。これから事業を始める方は、開業届をスムーズに提出できるよう、ぜひ参考にしてください。